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冷間圧造・ダイカスト・MIM・焼結——量産部品の工法選択、正しくできていますか?

2025 11 22 製造技術・工法選択
冷間圧造・ダイカスト・MIM・焼結——量産部品の工法選択、正しくできていますか?

「どう作るか」が決まれば、コスト・品質・納期の8割が決まる

金属部品の調達において、材料選定や仕入先の選定と同じくらい——いや、それ以上に重要なのが工法の選択です。

同じ形状の部品でも、切削で作るのか、冷間圧造で作るのか、ダイカストで鋳込むのかによって、単価・品質特性・リードタイム・環境負荷が大きく変わります。にもかかわらず、「試作のときに切削で作ったから、そのまま量産も切削」「前任者が決めた工法をそのまま踏襲」というケースが少なくありません。

本記事では、量産金属部品で採用される主要な工法の特徴を整理し、最適な工法選択の考え方をご紹介します。

主要6工法の特徴と使いどころ

1. 冷間圧造(冷間鍛造)

金属材料を常温のまま金型で叩いて成形する工法です。ねじ・ボルト・ナットなどの締結部品から、自動車用の特殊形状部品まで幅広く使われています。

強み: 材料を「削る」のではなく「塑性変形させる」ため、材料ロスが極めて少なく、金属の繊維組織(ファイバーフロー)が切断されないので強度に優れます。量産時のサイクルタイムが短く、1分間に数十〜数百個の生産が可能です。

適したケース: 年間数万個以上の量産、回転体や軸対称の形状、強度が求められる締結部品。

注意点: 金型の初期投資が必要。極端に複雑な形状は不向きですが、後工程で切削を併用する「ハイブリッド工法」でカバーできる範囲は広いです。

東京鋲兼グループは、冷間圧造品が販売製品の約30%を占め、JCIS規格に採用された極小サイズの0番・00番ねじを含む精密締結部品でトップクラスの実績を持っています。

2. ダイカスト

溶かした金属(主にアルミニウム・亜鉛・マグネシウム合金)を高圧で金型に注入して成形する工法です。

強み: 薄肉で複雑な形状を高い寸法精度で量産できます。鋳肌がきれいで、後加工が少なく済むケースも多いです。

適したケース: アルミ・亜鉛合金の筐体・カバー類、放熱部品、大量生産品。

注意点: 金型費が高額。鉄系材料には不向きで、内部に巣(気泡)が残るリスクがあるため、耐圧部品には工夫が必要です。

3. MIM(Metal Injection Molding:金属粉末射出成形)

金属粉末とバインダー(結合材)を混合し、樹脂成形と同様に射出成形した後、脱脂・焼結して製品にする工法です。

強み: 樹脂成形に近い形状自由度で、ステンレスやチタンなど高硬度材料でも複雑形状が作れます。切削では加工時間がかかりすぎる複雑形状・小型部品に最適です。

適したケース: 医療機器部品、精密機器の小型部品、複雑形状で高強度が求められる部品。

注意点: 焼結時に約20%収縮するため、寸法管理にノウハウが必要。大型部品には不向きです。

4. 焼結

金属粉末を金型で圧縮成形し、融点以下の温度で加熱して粒子同士を結合させる工法です。

強み: 含油軸受のように多孔質の特性を活かした機能部品が作れます。材料歩留まりが高く、ニアネットシェイプ(最終形状に近い成形)が可能です。

適したケース: 軸受、歯車、構造部品など、量産で形状が比較的単純な部品。

注意点: MIMほどの形状自由度はなく、密度が100%にならないため、高強度が求められる箇所では設計上の考慮が必要です。

5. プレス加工

金属板(板金)を金型で打ち抜き・曲げ・絞りなどの加工を行う工法です。

強み: 高速・大量生産に向いており、薄板の部品を効率よく製造できます。順送金型を使えば、複数工程を1つのプレス機で連続処理できます。

適したケース: ブラケット、端子、カバー類など板状の部品全般。

注意点: 板厚方向の形状自由度は限られます。板厚が厚くなると大型のプレス機が必要です。

6. 切削加工

旋盤やマシニングセンタで材料を削り出す工法です。

強み: 金型不要で形状の自由度が最も高く、小ロット・多品種に柔軟に対応できます。寸法精度も最も高い水準が出せます。

適したケース: 試作、小ロット品、極めて高い精度が求められる部品。

注意点: 量産になると1個あたりのコストが下がりにくく、切粉による材料ロスが大きい。加工時間が長い形状ではコスト高になります。

工法選択の判断フレームワーク

最適な工法を選ぶ際に検討すべき主なポイントは以下の通りです。

生産数量: 年間数百個なら切削、数千〜数万個なら圧造やMIM、数万個以上ならダイカストやプレスが有利になるのが一般的です。ただし、形状や材質によって分岐点は大きく変わります。

形状の複雑さ: 回転体なら冷間圧造、複雑な三次元形状ならMIMやダイカスト、板状ならプレスというのが基本ですが、ハイブリッド工法で対応範囲を広げることも可能です。

材質: 鉄系・ステンレスなら圧造やMIM、アルミ系ならダイカスト、銅合金なら圧造や切削といった親和性があります。

要求精度: 公差が厳しい箇所がある場合、基本形状を鍛造やダイカストで成形し、重要寸法だけを切削仕上げするのがコストと精度のバランスに優れたアプローチです。

環境配慮: 切粉を大量に出す切削に比べ、圧造や焼結は材料のほぼ全量が製品になるため、環境負荷の低減にもつながります。カーボンニュートラルへの対応が求められる中、工法選択の新たな判断軸になりつつあります。

「どの工法が最適か」を知るために

工法の選択は、部品の形状・材質・数量・品質要件・コスト目標の組み合わせで決まるため、一律の正解はありません。しかし、複数の工法を横断的に比較検討できる知見と製造ネットワークを持っているかどうかで、調達の質は大きく変わります。

MONOCONでは、冷間圧造・プレス・切削・ダイカスト・MIM・焼結・スプリング・樹脂成形などの一次加工に加え、熱処理・めっき・研磨・ショットブラストなどの二次加工まで、幅広い加工技術と1000社の協力メーカーネットワークを活かし、お客様の部品に最適な工法を提案します。

図面と数量をいただければ、複数工法での見積もり比較も可能です。「今の工法が本当にベストなのか確認したい」というご相談も歓迎します。

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